遺品整理でトラブルになりやすい事例｜原因と防止策を徹底解説

遺品整理は思った以上に複雑な作業です。物理的な片付けに加えて、相続・供養・感情の整理などが絡み合うため、トラブルに発展することも少なくありません。

この記事では、遺品整理でよくあるトラブル事例を具体的に紹介し、その原因と防止策を解説します。事前に知っておくことで、後悔のない遺品整理を進めるための参考になります。

遺品整理で起こりやすいトラブルの全体像

トラブルは大きく分けると次の3つのカテゴリーに分けられます。

1. 家族・親族間のトラブル
2. 業者とのトラブル
3. 法律・手続きに関するトラブル

それぞれの典型事例を見ていきましょう。

家族・親族間のトラブル事例

1. 遺品を勝手に処分してしまった

家族の一人が先走って遺品を処分してしまい、他の相続人から「勝手にやられた」と不満が噴出するケースがあります。特に高価な品や思い出の品を捨ててしまった場合、深刻な対立につながります。

防止策：遺品整理を始める前に「残すもの」「処分するもの」を家族全員で話し合い、合意形成をしてから作業に入ること。

2. 形見分けをめぐる対立

形見分けは感情的な側面が強く、兄弟姉妹間で「誰がどの品をもらうか」で揉めやすいポイントです。

防止策：高価なものは相続財産として扱い、日用品や思い出の品を形見分けとするなど、あらかじめルールを決めること。

3. 作業の負担が偏る

近くに住む家族にばかり負担が集中し、遠方の家族が不満を抱くケースも多く見られます。

防止策：作業日程を共有し、できる範囲で分担する。どうしても参加できない人は費用負担で協力するなどの調整が必要です。

業者とのトラブル事例

1. 見積もりと請求額が大きく違う

「一式◯万円」と見積もられていたのに、当日になって追加料金を請求されるケースがあります。

防止策：内訳が明確な見積もりを取り、追加料金の条件を事前に確認すること。

2. 大切な遺品を処分された

業者に任せきりにした結果、残しておきたかった写真や手紙などが処分されてしまうことがあります。

防止策：残すものリストを作成し、業者に必ず共有しておくこと。立ち会いが可能なら立ち会って確認するのが望ましいです。

3. 杜撰な作業で部屋を傷つけられた

家具の搬出時に壁や床を傷つけられるトラブルもあります。

防止策：業者が損害保険に加入しているかを事前に確認する。

4. 無許可業者による不法投棄

一部の悪徳業者は、処分した不用品を不法投棄してしまうケースがあります。依頼者も法的責任を問われる可能性があります。

防止策：産業廃棄物収集運搬業の許可を持つか確認する。協会認定や資格保持者がいる業者を選ぶと安心。

法律・手続きに関するトラブル事例

1. 相続人全員の合意がないまま処分

遺産にあたる財産を勝手に処分すると、相続人同士のトラブルに直結します。

防止策：相続人全員で遺産分割協議を行い、処分方針を決めてから整理を始める。

2. 遺言書を無視して整理を進めた

遺品整理の際に遺言書が発見されたのに、確認せずに処分を進めてしまうと無効な分配となる恐れがあります。

防止策：遺言書を見つけたら家庭裁判所で検認を受け、内容を確認したうえで整理を進める。

3. 借金を知らずに相続してしまった

遺品整理で借金やローンの明細が見つかることもあります。確認せずに相続手続きを進めると、知らないうちに負債を引き継いでしまうリスクがあります。

防止策：借入関連の書類を必ずチェックし、必要なら相続放棄を検討する。

トラブル防止のためのチェックリスト

項目	防止のためのポイント
家族間の合意	作業前に必ず話し合い、残す・処分の方針を決定
遺言書	発見したら必ず検認手続き
書類の確認	通帳・権利証・借金関係は徹底チェック
業者選び	見積もり内訳・保険加入・許可証の有無を確認
立ち会い	可能な限り作業に立ち会い、残すものを指示
不用品処理	法令に従って処理できる業者かを見極める

まとめ

遺品整理は単なる片付けではなく、家族の感情・相続・法律・業者対応などが複雑に絡み合います。そのため、トラブルが起こりやすい作業でもあります。

• 家族・親族間での合意不足
• 業者との契約トラブル
• 相続や遺言をめぐる法的問題

これらを防ぐには「事前準備」と「情報共有」が何より大切です。作業を始める前に方向性を確認し、信頼できる業者を選ぶことで、安心して遺品整理を進めることができます。