借金やローンがあった場合の遺品整理の注意点
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[掲載日]2025/10/01 87 -
[掲載日]2025/10/01 87 -
遺品整理をする際に注意しなければならないのが、故人に借金やローンが残っていたケースです。知らずに遺品を処分したり相続の手続きを進めてしまうと、借金を引き継ぐリスクがあります。
この記事では、借金やローンがあった場合に遺品整理をどう進めるべきか、相続との関係を踏まえて解説します。
借金やローンも「相続財産」に含まれる

相続では「プラスの財産」だけでなく「マイナスの財産(借金・ローン)」も引き継がれます。
- 預貯金や不動産 → プラスの財産
- 借金・ローン・未払い税金 → マイナスの財産
相続は一体として承継されるため、「財産だけ相続して借金は放棄」という選択はできません。
相続の3つの方法
相続人には次の3つの選択肢があります。
- 単純承認
プラスもマイナスも含めてすべて相続する。何もしないと自動的にこれになる。 - 相続放棄
プラスもマイナスも一切相続しない。家庭裁判所に申述が必要。 - 限定承認
プラスの財産の範囲でマイナスの財産を返済する。特殊な手続きで相続人全員の合意が必要。
借金があるかもしれないときの遺品整理の注意点
1. 相続放棄の前に遺品を勝手に処分しない
相続放棄を検討している場合、遺品の処分は「相続を承認した」と見なされる恐れがあります。
- 家具や衣類を処分した → 単純承認と解釈される可能性
- 通帳や印鑑を使用した → 相続の意思があると判断される場合も
2. まずは財産調査を行う
- 通帳、借用書、クレジットカード明細を確認
- 信用情報機関に照会
- 住宅ローンやカードローンの残債の有無を確認
3. 3か月以内に判断する
相続放棄や限定承認は 相続開始を知った日から3か月以内 に家庭裁判所へ申述しなければなりません。
相続放棄を選ぶ場合の流れ

- 家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出
- 受理されれば借金も財産もすべて放棄
- 以後は遺品整理に関与しない
限定承認を選ぶ場合の流れ
- 相続人全員で合意して申述
- プラスの財産の範囲でマイナスを返済
- プラスの財産が残れば相続可能
借金があった場合の遺品整理の進め方
- 重要書類(通帳・借用書・契約書類)を保管
- 財産調査が終わるまでは処分を控える
- 家族や相続人で状況を共有
- 判断が難しい場合は弁護士に相談
ケーススタディ
ケース1:借金を知らずに整理
親の遺品を整理して家財を処分 → 後から借金が発覚 → 相続放棄できず、借金を背負うことに。
ケース2:相続放棄を選択
住宅ローンが残っていたため、家庭裁判所で相続放棄 → 借金の引き継ぎを回避できた。
ケース3:限定承認を活用
不動産は残したいが借金もあった → 限定承認を選び、財産の範囲内で返済。
借金がある場合のチェックリスト
| チェック項目 | ポイント |
|---|---|
| 借金の有無 | 通帳・明細・借用書を確認 |
| 相続放棄の期限 | 相続開始から3か月以内 |
| 遺品整理の順序 | 処分は財産調査の後に |
| 限定承認の検討 | プラス財産がある場合に有効 |
| 専門家相談 | 弁護士・司法書士に早めに相談 |
まとめ

借金やローンがある場合の遺品整理は、相続放棄や限定承認を含めて慎重に進める必要があります。
- 勝手に遺品を処分すると相続を承認したと見なされる恐れがある
- 相続放棄や限定承認は3か月以内に家庭裁判所へ申述
- 財産調査を優先し、専門家に相談することでリスクを回避できる
遺品整理を始める前に「借金の有無」を必ず確認し、適切な判断を下すことが大切です。



