遺品整理をしてて遺言書が見つかったときの正しい対応
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[掲載日]2025/10/01 86 -
[掲載日]2025/10/01 86 -
遺品整理をしていると、タンスや引き出しの奥から「遺言書」が出てくることがあります。家族としてはすぐに中身を確認したくなりますが、法律上の手続きを守らないと遺言が無効になったり、トラブルに発展したりする恐れがあります。
この記事では、遺言書が見つかった際に取るべき正しい対応について、種類ごとの流れや注意点を解説します。
遺言書が見つかったときにやってはいけないこと

- 勝手に開封する
- 破棄したり書き換えたりする
- 内容を一部だけ確認して放置する
これらは法律違反やトラブルの原因になります。特に「自筆証書遺言」を勝手に開封すると、5万円以下の過料が科される可能性があります。
遺言書の種類と扱いの違い
遺言書には大きく3種類があります。
| 種類 | 特徴 | 手続き |
|---|---|---|
| 公正証書遺言 | 公証役場で作成、公証人が関与 | 検認不要、すぐに執行可能 |
| 自筆証書遺言 | 自分で全文を書く(自筆/パソコン一部可) | 家庭裁判所で「検認」が必要 |
| 秘密証書遺言 | 内容を秘密にしたまま公証役場に預ける | 家庭裁判所で「検認」が必要 |
公正証書遺言が見つかった場合
最も信頼性が高く、検認不要です。
手続きの流れ
- 公証役場で原本を確認
- 相続人や遺言執行者に開示
- 遺言内容に従って相続手続き開始
公証人が関与しているため、偽造や無効の心配が少なく、スムーズに手続きが進みます。
自筆証書遺言が見つかった場合
最も多いのがこのケースです。勝手に開封せず、家庭裁判所に提出する必要があります。
検認とは?
- 家庭裁判所が遺言書の形式を確認し、偽造や改ざんを防ぐ手続き
- 遺言の有効性そのものを判断するものではない
手続きの流れ
- 家庭裁判所に「検認申立書」を提出
- 相続人全員に通知が送られる
- 検認期日に裁判所で開封・確認
- 検認調書が作成される
これを経て初めて遺言内容に基づく相続手続きが可能になります。
秘密証書遺言が見つかった場合
本人以外は内容を知らず、公証役場に保管されています。自筆証書と同様、家庭裁判所での検認が必要です。
遺言書が複数見つかった場合
- 基本的に 日付が新しいものが有効
- 条件や内容が矛盾する場合、最新の遺言が優先
- 判断が難しい場合は弁護士に相談
遺言書が無効になるケース
- 日付や署名がない
- 押印がない
- 改ざんや破損が疑われる
- 書式不備(自筆証書遺言で全文自書でない など)
不備があっても裁判で有効性が争われるケースもあるため、専門家の判断が必要です。
遺言書を見つけたときの対応フローチャート

- 封印がある → 開封せず家庭裁判所へ
- 公正証書遺言 → 検認不要、手続き開始
- 自筆・秘密証書遺言 → 家庭裁判所で検認申立
- 不明点がある → 弁護士や司法書士に相談
ケーススタディ
ケース1:自筆遺言を勝手に開封
長男がタンスから見つけた遺言書を開封 → 家庭裁判所に提出できず、遺言が有効に扱われなかった。
ケース2:公正証書遺言が見つかった
スムーズに遺産分割が進み、相続トラブルを回避できた。
ケース3:複数の遺言があった
日付の新しい遺言が優先され、古い遺言の内容は無効扱いに。
トラブルを避けるためのチェックリスト
| 勝手に開封していないか | 自筆遺言は必ず家庭裁判所へ |
| 種類を確認したか | 公正証書遺言は検認不要 |
| 日付や署名を確認したか | 不備があると無効の可能性 |
| 複数の遺言があったか | 新しい日付が有効 |
| 専門家に相談したか | 不明点がある場合は弁護士へ |
まとめ

遺品整理の際に遺言書が見つかったら、
- 勝手に開封しない
- 種類を確認する(公正証書/自筆/秘密)
- 必要なら家庭裁判所で検認を受ける
- 不明点は専門家に相談
これらを徹底することで、相続トラブルを未然に防ぎ、故人の意思を正しく尊重することができます。



