遺品整理の法律的な位置づけ|相続・遺言・形見分けとの関係を徹底解説
[掲載日]2025/09/24 35 -
遺品整理という言葉は日常的に使われていますが、実際に進めるときには相続や遺言など「法律」と深く関わってきます。単なる片付けでは済まず、財産の権利や手続きが関係するため、正しい知識を持っていないと後々トラブルにつながるケースも珍しくありません。
この記事では、遺品整理の法律的な位置づけを整理し、相続・遺言・形見分けとの関係をわかりやすく解説します。
遺品整理は法律上どう位置づけられるか
遺品整理自体には「遺品整理法」といった特別な法律は存在しません。しかし、遺品の中には財産や権利に関わるものが含まれるため、民法や相続税法などの法律が関係してきます。
特に注意が必要なのは以下の3点です。
- 遺産にあたる財産(現金・預貯金・不動産など)
- 相続放棄や限定承認など、相続人の選択肢
- 遺言書の効力とその扱い方
つまり「遺品整理そのものは法律で直接定義されていないが、相続に直結する行為が多いため実質的には法的行為と隣り合わせ」と考えるのが正解です。
遺品整理と相続の関係

遺産にあたるもの
遺品整理で出てくる品物のうち、次のものは相続の対象になります。
- 不動産(土地・建物)
- 預貯金・有価証券
- 貴金属や骨董品
- 車やバイクなど登録資産
これらは民法上「遺産」に含まれ、遺族が自由に処分できるわけではありません。
相続の流れと遺品整理
遺品整理を始める前に、相続人全員で「誰が何を相続するのか」を協議する必要があります。協議が整う前に勝手に処分すると、相続トラブルの原因になることもあります。
相続と遺品整理の関係表
| 項目 | 遺品整理での扱い | 相続での扱い |
|---|---|---|
| 家具・日用品 | 多くは処分や形見分け | 財産的価値がなければ相続対象外 |
| 預貯金 | 通帳を発見したら凍結される | 相続人で分割協議が必要 |
| 不動産 | 登記簿や権利証を確認 | 登記変更・相続登記が必要 |
| 借金 | 明細を確認 | 相続人が承継(放棄も可) |
遺品整理と遺言の関係
遺言書の効力
遺品整理の現場で遺言書が見つかることがあります。遺言書は相続の分配を定める強い効力を持つため、発見したら必ず家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。
遺言がある場合とない場合
- 遺言がある場合:遺言の内容に従って財産を分配
- 遺言がない場合:法定相続人による遺産分割協議で決定
遺言の有無によって、遺品整理の進め方が大きく変わるのです。
遺品整理と形見分けの関係

形見分けとは
形見分けは、故人が生前に使っていた品を親族や友人に分け与える慣習です。法律上の相続とは異なり、精神的な意味合いが強い行為です。
注意すべき点
- 高価な貴金属や骨董品は相続財産とみなされる可能性がある
- 相続人全員の合意なく勝手に渡すとトラブルの原因になる
- 価値の低い日用品や衣類などを形見分けするのが一般的
遺品整理でよくある法的トラブル
トラブル事例
- 相続人の一人が勝手に遺品を処分した
- 遺言書があるのに形見分けで無視された
- 借金を知らずに相続してしまった
トラブルを防ぐポイント
- 遺品整理を始める前に相続人全員で話し合う
- 遺言書が見つかったら必ず家庭裁判所で検認する
- 借金の有無を確認し、相続放棄の可能性も検討する
遺品整理に関わる専門家

遺品整理は弁護士や司法書士、税理士などの専門家と関わる場面があります。
- 弁護士:相続トラブルの調停や訴訟対応
- 司法書士:不動産登記の変更や相続登記
- 税理士:相続税の申告や節税対策
業者任せにせず、必要に応じて専門家を巻き込むことが重要です。
法律的な観点からみる「遺品整理の進め方」
- 遺言書の有無を確認する
- 相続人全員で遺産分割について話し合う
- 財産価値のあるものと日用品を区別する
- 日用品は形見分けや処分で整理する
- 財産関連は専門家に相談して正しく手続きする
まとめ
遺品整理には直接的な法律は存在しませんが、実際には相続・遺言・形見分けと深く関わっています。
- 財産価値のあるものは「相続」
- 故人の意思がある場合は「遺言」
- 精神的な分配は「形見分け」
これらを混同せずに整理することが、家族のトラブルを防ぐ最大のポイントです。必要に応じて弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら、適切に進めていきましょう。



