遺品整理と特殊清掃との違い｜サービス内容・費用・依頼のタイミングを徹底解説

遺品整理と並んでよく耳にする言葉に「特殊清掃」があります。どちらも亡くなった後の住居で行われる作業ですが、目的も内容も大きく異なります。違いを理解せずに依頼すると、必要な作業が抜け落ちたり、費用が無駄にかかる可能性があります。

この記事では、遺品整理と特殊清掃の違いを整理し、どんな状況でどちらを依頼すべきかを詳しく解説します。

遺品整理とは？

遺品整理は、故人が残した品物を整理・仕分け・処分し、必要に応じて供養や相続手続きを進める作業です。

遺品整理で行われる主な内容

• 家具や家電、日用品の仕分け・搬出
• 通帳や権利証などの重要書類の探索
• 仏壇や位牌など宗教的品の供養手配
• 不用品の処分や買取
• ハウスクリーニング（簡易清掃レベル）

遺品整理業者の多くは、心理的な配慮を持ちながら遺族と一緒に作業を進める点が特徴です。

特殊清掃とは？

特殊清掃とは、孤独死・事故死・事件現場などで必要となる専門的な清掃作業を指します。通常の清掃では対処できない体液・血液・腐敗臭・害虫などを取り除き、再び居住可能な状態に戻すことを目的とします。

特殊清掃で行われる主な内容

• 体液や血液の除去、消毒
• 腐敗臭の消臭、オゾン脱臭
• 床材・壁紙の張り替え、原状回復
• 害虫駆除（ハエ・ウジなど）
• 必要に応じてリフォーム作業

特殊清掃は高度な専門技術と専用薬剤・機材が必要であり、通常の清掃業者では対応できません。

遺品整理と特殊清掃の違い比較表

項目	遺品整理	特殊清掃
主な目的	遺品の整理・仕分け・供養・相続準備	孤独死・事故死現場の衛生回復
作業内容	不用品処分、買取、簡易清掃	体液・血液除去、消毒、消臭、害虫駆除
精神的側面	遺族への心理的配慮	遺族の心の負担を軽減（現場状況改善）
費用相場	3万円〜30万円程度（間取り次第）	5万円〜50万円以上（状況次第）
作業期間	半日〜数日	1日〜数週間（原状回復含む）
専門性	一般の片付け＋供養・相続知識	特殊技術・薬剤・リフォーム対応

遺品整理と特殊清掃の関係性

両者は別物ですが、実際には「セットで依頼される」ケースが少なくありません。たとえば孤独死で発見が遅れた場合、まず特殊清掃で現場を衛生的に回復し、その後に遺品整理を行う流れになります。

逆に、病院や施設で亡くなった場合は特殊清掃は不要で、遺品整理だけで十分なケースもあります。

遺品整理が必要な場面

• 家族が亡くなり、自宅の遺品を片付けたいとき
• 相続手続きや空き家活用のために整理が必要なとき
• 仏壇や遺影の供養を行いたいとき

特殊清掃が必要な場面

• 孤独死で遺体発見が遅れ、腐敗臭が残っているとき
• 体液や血液で床や壁が汚染されているとき
• 害虫が大量発生しているとき
• 原状回復工事が必要なとき

費用の違いと注意点

遺品整理の費用

• 1Kなら3〜8万円
• 3LDKなら15〜30万円以上
• 荷物量や間取りに応じて変動

特殊清掃の費用

• 消臭・消毒のみ：5〜10万円程度
• 体液処理や床材撤去：20〜50万円
• 原状回復リフォームを伴う場合は100万円を超えることも

※特殊清掃は状況によって費用差が非常に大きいのが特徴です。

よくある誤解とトラブル事例

「遺品整理業者が特殊清掃もやってくれるはず」

→ 一部業者は対応できますが、専門知識がない業者では不十分な処理で臭いや汚染が残ることがあります。

「特殊清掃だけ頼めば遺品も整理してくれる」

→ 特殊清掃業者は衛生回復が中心で、遺品整理まで対応しない場合があります。

「費用は両方合わせても数万円程度だろう」

→ 特殊清掃は想定以上に高額になることが多く、事前の見積もり確認が必須です。

適切に依頼するためのポイント

1. 状況を冷静に把握する（臭い・汚染・害虫の有無）
2. 遺品整理と特殊清掃を両方対応できる業者か確認
3. 複数社から見積もりを取り、費用と対応範囲を比較
4. 遺族が精神的に辛い場合は業者に一任する選択も検討

まとめ

遺品整理と特殊清掃は似ているようで全く異なるサービスです。

• 遺品整理：故人の遺品を整理・供養・相続準備のために行う
• 特殊清掃：孤独死や事故現場を衛生的に回復させるために行う

両方が必要なケースもあるため、状況に応じて適切に選びましょう。依頼先を間違えないためにも、事前にサービス内容と費用をしっかり確認することが大切です。